アートイベント「キテミテ中之島2020」に参加し、
フェスティバルタワー13Fスカイロビーにて、「水中車窓」を展示しています。
水都大阪の中之島。南北の道路で区切られた島はその形(存在)を認識しにくくなっていました。
そこに京阪中之島線が東西の川沿いの地下に開通したことをきっかけに、
「もし、その電車から川の水中を通して見上げる水面の向こうに街が見えたらどんな景色だろう?」
というイメージをもち、
川の水面に写る街の景色を写真に収めるリサーチをおこなったことがはじまりで、
2015年の春、桜の季節のことでした。
表現としては単純で、水面の写真の天地を逆さまにしただけ。
しかしそこには、今まで見てきた絵画技法が次々と現れていました。
油絵のよう
ペンキ絵のよう
影絵の中に、法隆寺の卍くずしの高欄?
いにしえからの建築の意匠もここにあるのではないか?
パステル画のよう
水彩画のよう
日本画?
象嵌? サンドアート?
金箔?
写真の形態の加工は、一切していません。
人工物は、時代・技術の移り変わりとともにどんどんと変わっていきますが、
それらを、水面をとおしてみたとき、太古から続く人類は、ほぼ同じものを見てきたのではないか?
なぜ、わざわざ、油で絵を描くのか?
なぜ、建築の意匠(文様)は、このような形をしているのか?
なぜ、金箔をはるのか?
全てが、腑に落ちていく気がしました。
アートが、なぜ人にとって必要なのか?
その意味はここにあるといっても、過言ではない気がしてきます。
そんな水面をとおして見る中之島の、ゆれ・にじむ景色は、
これから私たちが進むべき街の姿を見せてくれているようにも思えるのです。