東山の天文台・・・宇宙への入口

京都カラスマ大学の授業に参加しました。

東山に天文台?世界天文年?

少し不安定に感じるようになった日常から
少し高く、少し外へ、少し自由に、気分のリセット ・・
自由に学ぶことは、自身を安定させる効果もあるのかもしれません。

子供のころ、宇宙は浮世ばなれした未知の憧れのような存在でした。
しかし、磯部洋明先生のお話では、
観測研究が進み、現代の人間の活動が世界へ宇宙へと広がるなかで、
身近な生活と研究がリンクしだし、役に立つ学問に変わってきているとのこと。
最もホットなところとしては、気象学との関係性の問題。
すなわち「地球温暖化」の問題だそうです。
原因はCO2だけではなく、太陽の活動など他の視点も有るのでは?との議論で、
天文学が政治にも影響を与えるようなところに来ているとのこと。

少し生々しく、実際に空を見る時に見方が変わってしまうのか? 
でも、そんな先端の話を聞きながらも、来ている場所は80年前からある観測施設。
そのギャップが何とも面白い。
分析・研究するという内向きの複雑な行為と
観察・観測するという外向きの実感を伴うプリミティブな行為。
そのプリミティブな行為と、それを補完する少し前の建築が幸せな関係に見えたので、紹介。

最大の特徴は「動く」ということ ・・
扉や窓だけではありませんよ ・・屋根や壁です!

まずはドーム。
中央の長細い屋根の一部がスライドしてあきます。
そこから、望遠鏡でのぞきます。



さらに、ドーム自体が横にゴトゴトと回転します。
もちろん、星は動くので自分もそちらに向かないといけません。
滑車が見えています。わかりやすい。



次は、歴史館。
こちらも、屋根の一部がスライドします。
(以前は、ガラスは無かったのでしょう)
時刻を測るための観測装置だそうです。



外から見るとこんな感じ。
中央の屋根の両側に滑車付の足がついています。
左の屋根も動きそうですね。



最後は、太陽館。
こちらはもっと上手で、建物ごとレールの上を動きます。
もうこうなると、アニメの世界です。
建物自体が、太陽光を導入する巨大な望遠鏡そのものの役目をしています。
建物内部の壁面は、ぐるりとプリズムで分光されたスペクトルの虹で満たされるそうです。
素敵です。




何か、とても特別なもののように見えますが
建物は、外部の自然環境の過酷さをコントロールする中で、
人の行為をサポートするものだと考えると、
この建物達は、外部環境である空(宇宙)との関係において、
実にシンプルでダイナミックな、関係性を築いています。

「動く」ということは、他者との関係を持つこと ・・

建築を考え・作ることは、
リアルな実感を伴う中で周りの自然や人との関係を見つめなおせること
だと思っています。
複雑な研究をサポートする特殊な建物になると違うのかもしれませんが
ここには、「観察する」という多くの人が共有できる行為に対して
素直でわかりやすい建物があります。

そんな建物のある場が、天文学の市民への窓口として
これからの時代を生き続けていこうとしているそうです。
その場とのシンプルでオープンな関係性を築いておけば、当時の機能が果たされなくなっても、
人を繋ぐ入口としてとして使われ続けていく可能性があるのだと ・・

そんな建築の有り方が私の夢であり、
この建物は私にとっても夢に繋がる入口に感じられました。


京都カラスマ大学  http://karasuma.univnet.jp/
京都の街をキャンパスに、新しいスタイルで多様な生涯学習を展開されています。
街で起こっていることを伝えながら紡いでいき、街の入口を丁寧にプロットしていかれています。

京都大学 花山天文台  http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/index.html
今年創立80周年。アマチュア天文学の聖地。
街が明るくなり、主要な研究観測を他に移す中、市民と天文学を繋げるオープンな
街中の天文台を目指され、NPO「花山星空ネットワーク」を立ち上げられました。


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